うつくしいもの

「あ、そろそろ終電なくなるな?

寒いし、帰るわ」


涼雅はそう言って、立ち上がる




「あ、はい」



もうそんな時間なんだ




「これ、やるわ」


涼雅はそう言って、

手にしていたピックを私の方へと投げてくれた




「あ、取れた」



私は反射的に、それを掴めた



それはいつか取ろうと思っていた、

涼雅の投げるピック




そのピックを取ると幸運が訪れるようなジンクスがあったけど、

実際はどうなのだろうか?



私の手の中に、

真っ白で三角のピックが有る


それは、涼雅の熱が残っていて、

少し温かい





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