うつくしいもの
「いえ。
きっと、私、あの時慌ててたから番号を間違えて書いたんですね……」
「うーん。
俺もちゃんと確かめてかければ良かったんだろうな」
ふと、涼雅と目を見合わせて、
笑ってしまう
懐かしいような、
気持ちになる
「でも、あれで良かったんだろうな?
もし、あの後、俺がお前に電話をかけてたら。
もしかしたらお前は、
夢見がちでどうしようもないバンドマンの彼女になってたかも、しれねーし」
そう言われて、
そのもう1つの世界を想像してみる
もう過去は変えられないからこそ、
その世界が魅力的に思えてしまう