うつくしいもの

駅に着くと、私達は反対方向



涼雅の乗る電車はもうすぐ来るからか、

キップを買った涼雅は私からすぐに離れようとする




「あの、これ」



私は慌てて、鞄から自分の携帯番号を書いた紙を取り出した


無理矢理それを、涼雅に手渡す





「えっ?なにこの紙?」


涼雅はその紙を見ながら裏を向けて、

合点がいったように、
あ~、と笑う




「じゃあ、また電話するから」


涼雅はそう言ってその紙を掲げ、
颯爽と私から去って行った




私はキップ売り場で、
自分の駅までのキップとJUKEのワンマンライブのチケットを手に持ちながら、

動けないでいた




涼雅が乗ったと思われる電車の音を聞きながら、

笑みが漏れた






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