The Last Love-最後の恋-
情報科の授業があったのは4時間目。
幸い、今は昼休みだからこうして落ち着く時間がある。
「………で、お前は何がやりたかったんだ?」
「………音楽」
「音楽ってことは…バンドとかか?」
「違う、和楽器」
「和楽器か…また珍しい」
「ねえ、先生?」
「ん?」
「話、聞いてくれる?」
卯月先生はただ静かに頷いて、静かに私の話を聞いてくれた。
「…私ね、小さい頃に和楽器に出会ったの。
お母さんが筝を弾くのが好きで、周りの女の子がピアノに憧れるように、私はお母さんの筝を聞いて筝に憧れていったの」