Dr.早瀬

優しいひと


次の日、朝の検査で
特に別状はなく広場に
行くか迷っていた時

コンコンっ

「由那さん?いるか?」

研修医…

「…どーぞ。」

ガラガラ

「あれ、いた。」


少し驚いた顔をしながらそう言われ



「あたしの病室なんだから
当たり前でしょ。」


軽く睨むと


「いや、公園かと思った。」


「そんな毎日毎日 行きません。」

研修医から窓に顔だけ向ける。

…行こうか迷ってたけど。


するとははっと笑う。

さっきよりきつめに睨んで

「何よ。
それより仕事は?
こんなとこで油売ってる場合じゃ
ないでしょ。早く戻りなよ。」

そう言うと

「患者さんの様子を
見に来るのも医者の仕事です。」


表の顔だ。仮面がはりついてる。


でも、


"患者"。




その言葉に胸の奥からきりっと
音がした。

所詮、研修医からしたら
あたしは患者。

そんな当たり前のことに
なに今更…

「…見ての通り、あたしは元気です。
なんかあったら林先生に
言いますので、研修医に
用はありませーん。
ご退場 願いまーす。」

また嫌な言い方になる。

「…お前 コンコンっ

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