あの頃の君へ〜eternal love〜
そんな風に嘆いていた彼女だけれど、
俺から見ればそんなに変わらない。



綺麗で優しいお姉さんだ。



そして彼女は続けた。



『じゃあさ、蓮くんにとっては
私が初めてのお客さんって事よね?』



『それはそれでラッキーかも♪なーんて
言ったら、担当にキレられそうだけど!』



『ねぇねぇ、休みの日って何してるのっ?』



『えっ…!?休みですか?
そうですね、えっと……』



『休みの日は…友達と飲んだり、
買い物したり…案外普通ですよ?』



『わぁ!似てる〜!
私もそんな感じかもっ!!』



綾子さんは、こんなに話題のない俺にも



会話を弾ませようと
終始笑顔で接してくれた。



そうするうちに俺の緊張も
徐々に緩んでいったような気がした。



『それじゃあ、蓮くん!またねっ!』



『ありがとうございました。
ごちそう様でした。』



空けたグラスをコツンと合わせて
俺は一礼して席を離れた。



蓮として初めての接客は、



決して女性を満足させられるような
ものではなかったと思う。



それでも彼女はそんな新人にまで
気遣いをくれる優しい心の持ち主だった。
< 255 / 1,028 >

この作品をシェア

pagetop