二番目の恋人
最後のキス
「そういうわけだから」
背を向けていた翔がクルリと回転をして、私を見る。

その眼差しはいつもと同じで、優しさを秘めたもの。二重のラインが大きいせいか、瞳がはっきりとしていて、その黒さは、人を吸い込んでしまいそうなくらい澄んでみえる。


子供の頃は誰もが穢れのない澄んだ瞳をしているけれど、大人になっても子供のような瞳をした人は、そうそういない。

私が知る限りでは、翔ひとりだけ。
それは私が翔を好きだからだと、周りから言われるけれど、果たしてそうだろうか。

確かに私は翔を好き。大好き。
でも、これまでにも恋をして好きになった男はいても、翔ほど瞳が澄んでいる男はいなかった。


その澄んだ瞳で見つめられると、何も逆らうことなどできない私がいて、この時もまた
「なら、仕方ないね」
と理解をしている風を装ってみた。


けれど、本当のところ、何の理解もしていない。というか、理解をしたくないのだ。
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