二番目の恋人
さっきから翔の言っていることは、さりげなく優しいようでいて、実のところただの別れ話。


「アメリカに行く。
当分帰国はしない。
仕事で頭がいっぱいだ。
だから会えなくなる」


要約すればそんなところ。


周りくどい言い方ばかりをして、肝心なことは、箇条書きにしたら４行で終わる内容だった。
別れようと言っているわけではない。


「そんな顔するなよ。落ち着いたら連絡するから。そしたら、アメリカにおいでよ」

私の髪を優しく撫でてから、そっと触れるキスもいつもと変わらない。けれど、どう考えてもこれは別れのキスだ。
私には、これが最後のキス。


軽く触れた唇は、いつものようにあたたかいはずなのに、最後のキスは冬の海のように冷たかった。


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