BEAST POLICE
殴り合いは一歩も譲る事なく、六発、七発、八発と続く。

どちらの顔面も紫色に腫れ上がり、まるでゾンビだ。

目尻や口端や鼻から出血し、見るに堪えない顔になっている。

それでも怯む事なく、九発目!

「「うぎっっっっ!」」

食い縛る歯すら、グラグラと動いている。

叩き付けられた拳によって頑丈な奥歯さえも抜け落ちそうだ。

しかし止めない、十発目!

「「…っっっっ…っ!」」

最早声さえ出ない。

膝がガクガクと震え、今にも落ちそうになる。

暴力団の組長だとか、警視庁の刑事だとか、そんな事はもう関係ない。

ただの意地の張り合い。

プライドの為だけの殴り合い。

その為だけに延々と続けられた殴り合いも。

「!」

近づいて来るパトカーのサイレンの音で、ようやく終わりを告げる。

< 109 / 490 >

この作品をシェア

pagetop