BEAST POLICE
「車の持ち主は、大物政治家の一人息子だった」

「……で?」

巽はズイと身を乗り出す。

「だからって見逃せる訳ないでしょうが。大物政治家の息子だろうが何だろうが、轢き逃げは轢き逃げだ。引き摺ってでも連れていくのが警察の役目でしょうが」

「勿論だ。本来ならな」

そこまで言って口を噤む刑事部長。

「ケッ…結局は警察も国の歯車の一部かよ」

不機嫌そうに食堂のテーブルの上に足を上げる巽。

食堂のオバチャンが、カウンターの向こうからジロリと睨んだ。

「そうだ…真っ当な警察官では、政治家の圧力には敵わない。だがそんな理由で犯罪者を見逃したのでは、轢き逃げされた娘さんの遺族に申し訳が立たん…だからお前にミッションを与えに来たんだ」

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