BEAST POLICE
歌舞伎町の公園や駅前を中心に、同じ境遇の者同士が集まって一種のコミュニティを形成しているホームレス達。

彼らはこの街の…ひいては東京全体の裏側までをも知り尽くしている。

その情報網は侮れず、警察や極道、裏社会の人間ですら知らない事まで網羅している事すらある。

巽はそんな彼らと交友を持つ事で、事件捜査の際の、いわゆる『情報屋』としての関係を築いている。

「武さん、何だか臭うぜ?最近風呂入ってねぇだろ?」

「んな事ねぇよ、一週間前には公園の噴水で体洗ったもんよ」

「一週間前って…もう夏なんだから、マメに風呂入れよ」

「何言ってんだい、夏場まで革ジャン着てる巽ちゃんに言われたかねぇよ」

「違いない」

段ボールの上に腰を下ろし、肩を並べて、巽と武さんと呼ばれるホームレスは、にこやかに酒を酌み交わす。

他の皆にもよろしくと。

そう挨拶して帰って行ったのが、つい先日の事だ。

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