ドロップ・ダスト【完】
今日も今日とて我が高校の廊下は、まるで人気アイドルのコンサートの如く賑わっていた。
通りかかった生活指導の教師がその様子を見かねて注意に入るなり、蜘蛛の子を散らしたように女子生徒が逃げ出すのは、今となっては見慣れた光景だ。
少女漫画にありがちな、ただそこに突っ立って呼吸を繰り返しているだけで黄色い声を上げられる王子様的存在の男子生徒が、私の身近にも存在していたりする。


「お雛様ぁ~!こっち向いてくださ~い!」
「きゃああっ、今日もお美しいですぅ!」


かくいう自分も、周囲の女子に便乗するかのように彼の虜だ。
しかも彼とは二年生に進級する際に行われたクラス替えで同じクラスになることができたから、ここ最近の私はその美しいお姿を目の保養にしながら授業を受けられるという、それはもう贅沢な学校生活を送っているわけで。
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