【リメイク前】大きな桜の木の下で【完】
しばらくして姿を現した曽根くんの手には高そうなデジカメが握られていた。どうやら写真部の人から拝借したものらしい。
撮影機材は任せろとは言ってくれていたけど、まさかそれ脅迫して貸してもらった物とか言い出すんじゃないでしょうね?
そんな疑念を抱きながらもひと気の無い校舎裏に移動する。
普段は昼間しか見る機会の無かった大きな桜の木は、春霞に包まれながらも遠くからの街灯にぼんやりと照らされて幻想的だった。
暗がりの中では薄桃色が綺麗に引き立てられていて、私はその光景にうっとりと溜め息を漏らす。
「桜の花がなんで赤いか知ってるか?」
「え、知らないけど」
「木の下に死体が埋まってるからなんだぜ」
「ちょっとそういうのやめて」
怖がる私をケラケラと笑いものにしながらも、カメラを構えた曽根くんはシャッターを切る。
私は邪魔にならぬよう黙ってその様子を見ていた。
それから十分弱経過し、色んなアングルから撮った写真を見せてもらえば、中々のセンスに感嘆の声を上げざるを得なかった。
へぇー、曽根くん意外と良いセンスじゃん。カメラマンの才能あるんじゃないのかな。
とりあえず気に入った画像を教えると、「明日写真部の奴に頼んで印刷してもらうな」と笑いながらカメラを鞄にしまう曽根くんを前に、私は後で写真部の人にお礼と謝罪を言わなきゃなと苦笑いした。
撮影機材は任せろとは言ってくれていたけど、まさかそれ脅迫して貸してもらった物とか言い出すんじゃないでしょうね?
そんな疑念を抱きながらもひと気の無い校舎裏に移動する。
普段は昼間しか見る機会の無かった大きな桜の木は、春霞に包まれながらも遠くからの街灯にぼんやりと照らされて幻想的だった。
暗がりの中では薄桃色が綺麗に引き立てられていて、私はその光景にうっとりと溜め息を漏らす。
「桜の花がなんで赤いか知ってるか?」
「え、知らないけど」
「木の下に死体が埋まってるからなんだぜ」
「ちょっとそういうのやめて」
怖がる私をケラケラと笑いものにしながらも、カメラを構えた曽根くんはシャッターを切る。
私は邪魔にならぬよう黙ってその様子を見ていた。
それから十分弱経過し、色んなアングルから撮った写真を見せてもらえば、中々のセンスに感嘆の声を上げざるを得なかった。
へぇー、曽根くん意外と良いセンスじゃん。カメラマンの才能あるんじゃないのかな。
とりあえず気に入った画像を教えると、「明日写真部の奴に頼んで印刷してもらうな」と笑いながらカメラを鞄にしまう曽根くんを前に、私は後で写真部の人にお礼と謝罪を言わなきゃなと苦笑いした。