【リメイク前】大きな桜の木の下で【完】
「そこの枝に右足をかけて、そっちに左足置け」
と指示を受けながら腕を引かれていく。
やっと桜夜くんと同じ目線の高さまで登り、よいしょと年増臭のする声を発して太い枝の上に腰を下ろした私は、普段とは違う視点から見た桜に心を奪われた。
「きれい……!」
桜に包まれた空間は思っていた以上に魅力的で、無意識のうちに声を漏らした私を桜夜くんが笑う。
桜夜くんはここを自分の特等席だと言っていたけれど、これならそう言いたくなるのも頷ける。
高所恐怖症持ちというわけではないけれど、こんな不安定な場所で内心穏やかではいられないだろうなと予想していたのに、思いの外冷静でいられているのは、きっとこの俗界を離れた美景が恐怖心を緩和してくれているお陰だろう。
落とさないように細心の注意をはらいながらお弁当を食べ始める。
すると横から伸びてきた手が、つまようじに刺さったミートボールをさらって行った。
と指示を受けながら腕を引かれていく。
やっと桜夜くんと同じ目線の高さまで登り、よいしょと年増臭のする声を発して太い枝の上に腰を下ろした私は、普段とは違う視点から見た桜に心を奪われた。
「きれい……!」
桜に包まれた空間は思っていた以上に魅力的で、無意識のうちに声を漏らした私を桜夜くんが笑う。
桜夜くんはここを自分の特等席だと言っていたけれど、これならそう言いたくなるのも頷ける。
高所恐怖症持ちというわけではないけれど、こんな不安定な場所で内心穏やかではいられないだろうなと予想していたのに、思いの外冷静でいられているのは、きっとこの俗界を離れた美景が恐怖心を緩和してくれているお陰だろう。
落とさないように細心の注意をはらいながらお弁当を食べ始める。
すると横から伸びてきた手が、つまようじに刺さったミートボールをさらって行った。