【リメイク前】大きな桜の木の下で【完】
「あー!ちょっとそれ、今日の楽しみにしてたのに」
「ん」
「なに、その“ん”って」
「まだ飲み込んでないから、口移しで半分やるよ」
「……いらないです」
桜夜くんが私のお弁当をつまんでいくことはしょっちゅうだ。
自分だってちゃんと売店のパンとか食べてるのにさ。
人の物無断でとったら駄目だって、お母さんから教わらなかったのかなぁ?
愚痴を零しながらも箸を進めていると、桜夜くんが突然「しっ」と人差し指を私の口元に添えた。
とりあえず口にチャックをした私だけど、何事だと問い掛けるように視線をやれば、桜夜くんが立てたままの指を移動させて、それが示した先にはこちらに向かって来ている男女二人。
顔に覚えがないから新入生だろうか?あのお互いに距離を置いている初心な雰囲気から察するに、これから例のジンクスを試すつもりなのだろう。
まさか他人の告白現場を盗み見することになるとは、なんて貴重な体験。
今更後には引けず、私は罪悪感を抱きながらも息を潜めてその様子を見届けることに。
「ん」
「なに、その“ん”って」
「まだ飲み込んでないから、口移しで半分やるよ」
「……いらないです」
桜夜くんが私のお弁当をつまんでいくことはしょっちゅうだ。
自分だってちゃんと売店のパンとか食べてるのにさ。
人の物無断でとったら駄目だって、お母さんから教わらなかったのかなぁ?
愚痴を零しながらも箸を進めていると、桜夜くんが突然「しっ」と人差し指を私の口元に添えた。
とりあえず口にチャックをした私だけど、何事だと問い掛けるように視線をやれば、桜夜くんが立てたままの指を移動させて、それが示した先にはこちらに向かって来ている男女二人。
顔に覚えがないから新入生だろうか?あのお互いに距離を置いている初心な雰囲気から察するに、これから例のジンクスを試すつもりなのだろう。
まさか他人の告白現場を盗み見することになるとは、なんて貴重な体験。
今更後には引けず、私は罪悪感を抱きながらも息を潜めてその様子を見届けることに。