ずっとずっと、好きでした。【短編】
立花先輩
「遥子、最近何かあった?」
「へっ?」
放課後、いつものように部活でクラリネットの練習をしていると立花先輩が声をかけてきた。
「いや、何かいつもに比べて音に元気がないなと思って」
「あ……」
中学の時に顧問の先生に言われたことがあった。
“楽器の音は自分の気持ちも表現する”って。
先輩、私の楽器の音聴いててくれたんだ……。
「まぁ何もないならいいけど、何かあったならいつでも言えよ?」
「はい……」
「じゃあ俺も練習してくるな」
そう言って先輩はポンポン、と私の頭を二、三回撫でて別の場所へ歩いていった。