ずっとずっと、好きでした。【短編】

新たな出会い




どれくらい走り続けただろう。


運動の出来ない私のことだから、全然走れてないんだろうな。



それでもいいから。誰もいないところまで走り続けた。









「……終わっちゃった………」


先輩、驚いてたな…ってそりゃあそうか。

いきなり告白されたんだもんね。



だんだん涙が乾いてきた。

後少ししたら帰ろう。





そんな時、私のケータイから無機質な音がなった。


誰だろう、こんなときに……。



ケータイを開き確認する。


メールだ。誰からだろう。






「……あ、先輩から…………」




“ごめん、さっき伝えてなかったことがあったからメールした。

俺も、遥子のこと好きだったんだ。


でも今は律子が一番だから……。
お前の気持ち、すごく嬉しかった。


こんな先輩でごめんな……。”







「うっ……ふぇ…………っ…」


止まって枯れたはずの涙が、また出てきた。



先輩のバカ……!

なんで今さらそんなこと言うの……。




勇気を出して行動していたら、もっと未来は変わってたのかもしれない。

もっと早くに気づいていたら……。
















「きみ、こんなところでどうしたの?」


知らない人が私の顔を覗き込む。

同じ高校の制服を着てるから、同学年か、先輩か……。



「……泣いてるの?立てる?」


その人が手を差し出すのを気配で感じた。




私はごしごしと目元の涙を拭い、その手を握った。















「私ね、失恋、しちゃった」






この出会いがまた、私の恋の始まりとは知らず………。









2014.05.04






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