ずっとずっと、好きでした。【短編】
「…………」
先輩が一瞬だけ目を見開く。
それでも構わず、私は言葉を続けた。
「最初はクラリネットの音だけが好きでした。でも、同じ高校に入学して同じパートに入って一緒に練習して……」
「遥子……」
「先輩の笑顔に優しさに、私は惹かれていったんだって気づきました」
でも、気づいたときにはもう遅かった。
先輩は律子と……私の親友と、付き合っていた。
「先輩」
「…………」
「好きにならせてくれて、ありがとうございました……!」
私はそれだけ伝えると、逃げるように先輩に背を向けて走り出した。
「……遥子!!」
大声で名前を呼ばれ、ピタリと走るのを止める。
「俺の方こそ……好きになってくれて、ありがとう!!」
ダムが崩壊したかのように、涙が止まらなくなった。
私は涙を抑えるかのように、その場を駆け出した。