恋のはじまりは曖昧で

***

次の週の金曜日。
紺色のシフォンワンピースに黒色のボレロを羽織り、低いヒールを履いた私は気付かれないよう小さく息を吐いた。
周りを見回し、場違いだよなぁと改めて感じた。

今、私はとあるホテルのパーティー会場に来ている。

広い会場の天井には煌びやかなシャンデリア。
目の前のテーブルには豪華な料理の数々。
会社の取引業者主催のパーティーで、その関連企業などが参加しているから人の多さが半端ない。
先ほど、主催者の挨拶が終わったところだ。

どうして私がこんな場所にいるかというと、三日前に遡る。

田中主任から『うちの取引先主催のパーティーがあるんだけど一緒に行かない?』と言われたんだ。
その時、思わず「へっ?」と変な声が出た。
あまりにも意外過ぎて理解するのに時間がかかった。

どうして私を誘ってくれたのか不思議に思い聞いてみた。

その理由は自分がその取引先の担当だし、私が田中主任のサポートをしているからとのこと。
特に深い意味はないみたいだった。
まぁ、それはそうだよね。

最初は断ろうかと思った。
まず、私はパーティーなんて参加したことがない。
しかも、うちの会社からの参加者が田中主任と私の二人だけっていうのがちょっと引っかかったんだ。
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