恋のはじまりは曖昧で

「もしもし」

『あ、紗彩か?オレオレ。もう仕事……』

「私にはオレオレという知り合いはいないので切りまーす」

相手の会話を遮り、無理やり通話を終了させると、すぐさま着信音が鳴る。
仕方なく通話をタップすると、突っ込みの言葉が聞こえた。

『おい、勝手に切るなよ!海斗だよ、分かってんだろ?』

「あはは、ごめんごめん。分かってるよ。それで、何か用?」

『もう仕事、終わったんだろ?一緒に飯、食いにいかねぇ?』

「別にいいよ。どこ行くの?」

「おっちゃんとこの定食屋、久々に行こうぜ』

「あ、いいねぇ」

『現地集合でいいか?』

「了解」

『じゃ、後でな』

電話を終え、スマホをバッグの中にしまい、急遽決まった定食屋に向かうことにした。

電車に乗り、自分のマンションの最寄駅で降りた。
これから行く定食屋は、私の住んでいるマンションと駅の真ん中ぐらいの場所にある。

『小山田』という名前の定食屋。

ここは私が大学時代、よく通っていた。
リーズナブルで美味しいと評判の定食屋で学生には重宝されていた。
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