恋のはじまりは曖昧で
ホテルに着き、宴会まで自由時間と言われ、ひとまず宿泊する部屋へ向かった。
エレベーターを降り、目的の部屋でカードキーでドアを開けた。
ツインルームで、私は西野さんと同室だ。
和モダンの雰囲気の洋室タイプの部屋で、ホッと和める落ち着いた空間になっている。
私は荷物を持ったまま窓際に立ち、外の景色を眺める。
西野さんは部屋に入って一番にベッドへダイブした。
「うわっ、すっごいフカフカなんだけど。紗彩ちゃんも寝転がってみなよ。寝心地いいよ」
そんな姿を見ながら荷物を置き、もう一つのベッドへ座った。
本当ならダイブしたかったけど、若干の照れがあったので遠慮しておいた。
西野さんからこの社員旅行で距離を縮めたいと言われた。
そして提案されたのが下の名前で呼び合うということだ。
『私は西野弥生だから弥生って呼んでね。私も紗彩ちゃんて呼ぶから』と。
ちょっと照れくさいけど、嬉しかった。
弥生さんは、仕事中は頼れるお姉さんといった感じだけど、ベッドにダイブする姿を見て妙に親近感がわいた。
「そうだ!この後、三浦さんたちと卓球でもやろうかって話をしてたんだけど、紗彩ちゃんも行かない?」
西野さんは思い出したように起き上がり、自分のバッグを漁りながら声をかけてくれた。