恋のはじまりは曖昧で

「下手くそですけど、ご一緒してもいいですか?」

スポーツは得意という訳ではなく、人並みに出来るという程度。
卓球なんか学校の授業で何回かやったことがあるだけだから、あまり自信はない。
弥生さんたちが上手だったら足手まといになりそうなんだけど。
誰が見てるか分からないから、こんなところで醜態だけは晒したくないのが本音だ。

「何言ってんの!いいに決まってるでしょ。それに私らだって卓球なんて滅多にやらないから下手くそだよ」

そう言ってエアーラケットを持って素振りする。
弥生さんの言葉を聞き、少し気持ちが楽になった。

「ホントですか?西野さ、じゃなくて弥生さんは運動神経よさそうなんですけど」

「あー、バレー部だったから身体を動かすのは好きだよ。だけど、卓球はラケット使うしボールが小さくて勝手が違うから。紗彩ちゃんは何かスポーツをやっていたの?」

「中学は陸上で高校はテニス部の幽霊部員だったので、スポーツをやっていたと胸を張って言えないですね」

「そうなんだ。でも、陸上部だったなら足は速かったんじゃない?」

「いや、そうでもないですよ」

思わず苦笑いした。
陸上部でも足が速いとは限らない。
部活動対抗リレーに出た時にバスケ部の子に抜かされた苦い思い出がある。

「そろそろ行こうか。三浦さんたちが待ちくたびれてるかも」

三浦さんたちの元へ行くために部屋を出た。
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