seasons.(シーズンズ)【完】

秋色に染まる頃

*春輝side 


休みが明けて数日経過した放課後。

俺はナツに連れられ、修学旅行実行委員会へしぶしぶ参加していた。


「課題研究は二日目なのねぇ。めんどくさっ」


出来たてのしおり片手に話し合いを進める中、ナツは顔面のいたるところにしわを寄せてぼやいている。

残念なことに課題研究時のグループ振り分けは、席替え後の班ごとになってしまっているため、俺とナツは一緒だが他の連中は綺麗に分裂してしまっていた。

少しばかし米澤が心配だったりする俺は、完全保護者ポジションについているな。


「修学旅行に行ってまでどうして課題なんてやらなくちゃならないのかしらね」


それは旅行言えどあくまで学校行事だからだろう。

完全娯楽目的で行う行事ばかり取り入れるなんて、学生にあるまじきものだからな。

義務教育上愚痴漏らしながらもやるっきゃないつーわけだ。


「その分三日目には遊園地に行ける褒美もあるだろ」

「……遊園地か」


ナツのパッとしない反応を見て感付いた。

遊園地といえばコイツにとってはあまり良い思い出じゃない場所だ。
< 221 / 410 >

この作品をシェア

pagetop