seasons.(シーズンズ)【完】
「米澤、何かあったのか?」


と思ったらこの場に居合わせていない冬香の話題だった。

宮ちゃんが顎を触りながら、少し深刻そうな面持ちになる。


「何かって何よ」

「いやァ、あいつちょっと問題起こしちまったみたいでな」


まさかとは思うけど……、


「ここだけの話、高校の推薦貰えなかったんだよ」


まさかだった。


「俺は文句無しで許可したんだけどな、平松先生が却下しちまったんだよ」


平松とはザマスの本名。

やってくれたわあのババア。


「平松先生いわく、なんでもちょっとした問題を起こしちまったらしくてな。米澤本人も認めてはいるんだが。……くそ、俺がもっとしっかりしてやれば」


宮ちゃんは頭を抱えて落ち込んでいる。

ちょっとした問題……球技大会の時のあれで間違いない。

ちょっとした、だなんて言うけど、冬香がこうなってしまった今となっては大問題だわ。

だいたい、どうして巻き添えを食らった冬香がそんな仕打ちを受けなきゃいけないの。


「宮ちゃんは悪くないわよ」


ザマスはあれでも学年主任だし、冬香本人が認めた以上、宮ちゃんも手に負えなかったんでしょ。

それくらいあたしでも察してる。


「ごめん宮ちゃん。あたし今日はもう帰って勉強するわ。その話はまた今度ね」


あの時あたしが止めていれば。

あたしを庇ってくれた冬香を追いかけていれば。

そう思うと、居ても立っても居られなくなったのだ。

宮ちゃんが「やっとその気になってくれたのか!」と感激しているようだったけれど、私の足が自宅へ向かうことはなかった。
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