seasons.(シーズンズ)【完】
*秋人side


一緒に勉強しようということで、僕と冬香は学校の帰りに図書館へ来ていた。

時計の針が一周ほどした頃、冬香はパタリとペンを動かす手を止め、代わりに携帯を凝視しだした。


「どうかしましたか?」


不思議に思いそう訊ねると、


「夏枝ちゃんが……」


どうやら冬香の勉強を中断させたのは芳賀さんからのメールらしい。

内容は今すぐ会えないかというもので、当然この状況に置かれている冬香は戸惑っていた。

こういう時、彼女の背中を押してあげるのは彼氏の役目ですよね。


「言ってあげてください。芳賀さんは冬香を必要としてくれているんですよ」

「……いいの?」

「ええ」


遠慮はしてほしくなかったので、柔らかく微笑み掛け彼女を安心させてあげる。

どうやら効果はあったらしく、冬香は「ちゃんと埋め合わせはするから」と頭を下げるなり急ぎ足で図書館を出て行った。

埋め合わせですか。ではクリスマスに期待しましょうかね。
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