seasons.(シーズンズ)【完】
カラオケ屋を出て、近くの大通りを大所帯で歩きながら、女子達はロマンチックなトークに突入していた。

釣られて俺もイルミネーションの方を見やる。

数々の煌びやかな電球に視線が釘付けになり、思わず足を止めてしまった。

カラフルな光が絵を描く様は、その独特の世界に吸い込まれてしまいそうなくらいに幻想的だ。

辺りを見回すと俺達のような友達同士はもちろん、若いカップルや年輩の夫婦、そして家族連れが楽しそうにこの通りを行き交っている。

俺は無意識のうちにある一家を目で追っていた。

父親と母親に挟まれて両手を繋いでいる少年。

三人ともとても幸せそうに笑っている。

微笑ましい理想の家族像だ。


「……家族、か」

「ちょいとハル?ボーっとしないでおくんなまし」


肩を叩かれて我に返る。

先を行くクラスメイトとは数十メートルもの差をつけられていた。

隣で俺がはぐれないように唯一残ってくれたであろうシゲが、クエスチョンマークを浮かべている。

やべ、ボケっとしすぎた。
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