seasons.(シーズンズ)【完】
*春輝side


偶然なのか必然なのか、そんなこと気にしたところでどうしようもないんだけどさ。


「またハルが隣なのぉ?」
「また隣の席のよしみでよろしくな」


俺とナツはまた隣の席という位置関係になってしまっていた。
おまけに進藤は俺の前の席で、その隣が米澤。
もひとつおまけを言うならば、俺の後ろはシゲで隣は木村加奈――つまり仲良しグループが見事に集結しちまったわけだ。
誰かが裏で工作したのではないかと疑う偶然に、思わず表情が引きつる。


「あたし達もしかして腐れ縁なのかしら?」


クジ引きという運試しのような方法で決めた結果がこれであれば、強ちそういうことにしても間違いじゃなさそうだな。


「なんにせよ秋人くんが斜め前の席ってのは大きな収穫ね」


ナツは小声で呟いて、怪しい含み笑いを見せた。

そういえばコイツはなんで進藤のことが好きなのだろうか?
確かにいい奴だし、整った容姿だし、頭脳も優れているし、モテる条件は十分に揃っている。
男女ともに人気はあるみたいだから、なんら不思議に思うことはないはずなのだが。
ナツがそんな周りに流されたようなノリだけで、競争率の高そうな進藤を選んだようには見えない。
根拠も理由もない。ただ、なんとなくそう思うのだ。
< 84 / 410 >

この作品をシェア

pagetop