君と夢見るエクスプレス
11. やっぱり好き

「陽香里、今日のお昼はどうする?」



駅のコンビニで、美波が私に問い掛ける。



なんとなく嫌味に聴こえてしまうのは、気のせいだろうか。昨日のお昼、約束していたのに一緒に食べられなかったからか。



「今日は大丈夫、会議はない日だから一緒に食べよう」
「何にする? お弁当頼む?」
「うん、お弁当。休憩室でゆっくり食べたいから」
「何? 話でもあるの?」



さすがは美波、早速察してくれたらしい。



昨夜、決意したんだ。
美波に、私の気持ちを正直に話そうと。橘さんのことも、きちんと話すんだ。



だけど彼がホテルグループの子息だということは、笠子主任に口止めされてるから内緒。



「ちょっとだけね、美波は? 昨日の定時後に何か話してくれるつもりだったんじゃない?」
「あ、うん……、それね、お昼に話すよ。先に陽香里からだよ?」



うろたえる美波は明らかに不自然で、何かあるとわかった。今聞きたくなるけれど、お昼までお預け。


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