【短編】よわ虫kiss


「えぇぇぇえ!!!?」


「だから、おばあちゃんがこっち来るって。

そうすればアヤも転校しなくていいだろうっておばあちゃんが。


うち部屋も一部屋余ってたしな。

…なんで思いつかなかったんだろうな(笑)」


はっはっは、と豪快に笑うお父さんに怒りを通り越して呆れてしまった。


「ぃよっしゃあ!!」


たまたま同席していた大和の出したガッツポーズにあたしは驚いて…


「よかったなっアヤ!」


あたしを抱き締めた大和に、お父さんが目を丸くして驚いた。


お父さんの目はもちろん、すごくすごく気になったけど…


あたしは張り詰めてたものが切れたように、大和の腕の中で涙を流した。

ありえないくらい、感情を溢れさせて大和の腕の中で泣いた。



あたしは大和の胸に顔を押し付けてたからよくは分からないけど…

頭の上からたまに落ちてきた水滴は…きっと大和の涙だ。



…男のくせにこんな事で泣いちゃって。


「…よわ虫大和」


「うるせぇ。

泣き虫アヤ」


「女は男よりも涙腺が緩めにできてるから仕方ないんだもん」


「あぁ、おまえ女だったんだっけ。

すっかり忘れてた」


「…とりあえず、離れなさい」


抱き合いながら言い合いを始めたあたしと大和をお父さんが止めた。

大和の腕の中から出た後の気まずさったらもう…


全部、全部、大和のせいだ。

…バカ大和。




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