アイツ限定


あたしの体はもう全身鳥肌が立っていた。


だけど、ここで下がるわけにはいかない。


あたし1人ならまだましも、千夏がいる。



あたしが守らなきゃ。





あたしは席を千夏には指一本触れさせないように男たちの前に立ちふさがった。


相手は4人。


いけるか…。


千夏も、席を立ち、あたしの後ろに隠れる。


千夏の手はあたしの肩にあり、カタカタと震えていた。


正直、あたしの体も小刻みに震えていた。



じりじりと壁へと追い詰められるあたしたち。




「…悪いようにはしないぜ?楽しいことするんだよー?」



相手の男がニヤニヤしながらあたしたちに迫ってくる。


あたしは頭を必死に回転させた。



電車が来るまであと約1分。

もうそろそろでくる。




…あともうちょっと、時間を稼げば、千夏を逃がしてやれる。





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