アイツ限定
「楽しいことってどんなことですか?」
あたしは、恐怖に引きつった顔で相手に問う。
できるだけ、時間を稼ぐんだ。
1秒でもいい。
はやく、電車来てよっ……!!
「えっとねぇ~…それは、お・た・の・し・み。」
そういって、また一歩あたしたちに近づいてくる男性たち。
あたしたちは、相手が一歩近づく度に一歩後ろへ下がる。
男たちとあたしたちの距離は、既にもう約1mを切るところまで近づいてきていた。
これ以上近づきたくない。
ってか、こっちくんな、キモいっ!
「さあさあ、抵抗なんてするなよ?男の力に、女子高生がかなうはずがないんだ。」
男の1人がそういって気持ち悪い笑みを浮かべた。
千夏はもう、あたしのうしろで泣いているのがわかる。
怖いよね。
心細いよね。