アイツ限定
しかも、あたしの時代に。
ってことは、こいつも全国に行ったってことになる。
そんな奴がなんでこんな平凡な公立高校に来てるわけ?
普通はみんな、私立の強豪校から推薦来てて、そっちにいくはずなのに。
「……バカな奴」
あたしはそういって再び、ペンを動かし始めた。
こいつが、バスケの強豪校出身だとかそんなのあたしの知ったこっちゃない。
あたしに関係ない。
「お前もだろ?」
まだ、話しかけることを躊躇しない村上。
「お前も、強豪校出身だろ。Y中の女バスは、県大会は優勝してるだろうが」
こいつよく知ってるな。
だけど、あたしのペンは動くのをやめない。
T中とは格が違う。
あたしとのところは、やっとのやっとでてっぺんをつかんだ。
だけど、T中はもう県大会は優勝が当たり前。
100点ゲームが当たり前。
バスケをするあたしたちにとっては、とても遠い存在だった。
「……あんたとはちげーし」
「意味わかんね」
そういって、ようやく村上は体制を前へと向ける。
そして、さっきまでサボっていた分をノートへと書き写す。
2人のカリカリという音が異様に教室に響いていた。