アイツ限定


しかも、あたしの時代に。

ってことは、こいつも全国に行ったってことになる。

そんな奴がなんでこんな平凡な公立高校に来てるわけ?

普通はみんな、私立の強豪校から推薦来てて、そっちにいくはずなのに。


「……バカな奴」


あたしはそういって再び、ペンを動かし始めた。

こいつが、バスケの強豪校出身だとかそんなのあたしの知ったこっちゃない。

あたしに関係ない。


「お前もだろ?」


まだ、話しかけることを躊躇しない村上。


「お前も、強豪校出身だろ。Y中の女バスは、県大会は優勝してるだろうが」


こいつよく知ってるな。

だけど、あたしのペンは動くのをやめない。

T中とは格が違う。

あたしとのところは、やっとのやっとでてっぺんをつかんだ。

だけど、T中はもう県大会は優勝が当たり前。

100点ゲームが当たり前。

バスケをするあたしたちにとっては、とても遠い存在だった。




「……あんたとはちげーし」


「意味わかんね」


そういって、ようやく村上は体制を前へと向ける。


そして、さっきまでサボっていた分をノートへと書き写す。


2人のカリカリという音が異様に教室に響いていた。


< 14 / 199 >

この作品をシェア

pagetop