アイツ限定




ってなわけで、白が有利に試合展開を始める。

ボールを取った岡田が、ボールを運んで、すきをついて、村上にパス。

村上は、パスを受け取った瞬間、きれいにドリブルをつきはじめ、気が付けば、3Pライン内。

このまま、決めるのかなって思ったけど、豆多さんにボールをパスして、そのまま、豆多さんが決めた。

…チームプレーは出来ている。


息もあってる。


相手チームも負けてはいない。


皆それぞれの役割を果たす。


隣の雅人は、にこにこしながら、試合を見ていた。


なんだ、動けるんじゃん。

内心、あたし自身不安だった。


初ポジションで、正直、試合はぐしゃぐしゃになることを予想してたんだけど、まったく違った。

皆、ぴったりとフィットしている。


そして、それぞれのチーム独特の雰囲気を出し始めた。

村上にはダブルチームが付き、だけど、村上は余裕でそれを振り切ってしまう。


点が決まれば、背中をパシンとたたき合う。


時たま、笑顔を見せる。


村上も、コートで笑っていた。


何年振りなんだろう。

村上がコート上で笑えたのは。


なんだか、心がきゅっとなった。

締め付けられて、温かくなった。

涙が出そうになった。


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