アイツ限定


その足音とともに、あたしの中で、ある気持ちが膨れ上がる。


『寂しさ』


そう呼ぶのがふさわしいと思う。




__行かないで。



本当はそういいたい。


だけど、言葉として出てくるのは、真逆のこと。

素直になりたいのに、素直になれない。


雅人の時もそうだった。


そして、雅人はあたしから離れて行った。


雅人だけが悪いわけじゃない。

あたしだって悪かった。




「おい、松木。」



え…?


教室に戻ったんじゃ…。


あたしは、ゆっくりと、布団の中から顔を出すと、そこには村上の姿があった。



「なんで…いるわけ…?教室に戻ったんじゃ…。」



「は?教室なんて戻るかよ。次数学Ⅱだろ?別に授業受けなくてもわかるし。」



「じゃぁ、さっきどこに行って…。」



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