悲し笑いの横顔

「キミいくつ?」

「……28ですけど。」
 ベンチまで移動して、何話すかと思いきや歳ですか。
しかもふつー女の人に歳聞くかね?

「え!28!?」

「…そーですけど。」

「もう大台じゃん、アラサーじゃん!」
 ちょっと、この人失礼過ぎない?

悪い人じゃないって言ったけど、やっぱ撤回。ちょこっと悪い人、それでいてとっても失礼な人だよ。

「っていうか、そっちこそ何歳なんですか。
私より絶対歳いってるでしょ。」

「あとちょっとで34だけど。」

「ほらー!人のこと言えなくないですか!」

「男は30から味が出るっていうじゃん。だから俺はセーフ。
あ、ちなみに女のピークは27らしいよ。」
 …この人本当最低。

「まぁそんなからかいはここら辺にして。

君もうちょっと若いって思ってたからびっくりしただけだよ。
23、4に見えたからさ。」

「…はぁ。」
 冗談って言ってるけど本当かなこの人、どうにもアヤシイ。

「やー、びっくりしたなぁ。」
 それでいて、そこでやけにオヤジくさいセリフをこぼしたもんだからもっとアヤシイ。

もうすぐ34っての嘘じゃないでしょーね、私が23、4に見えたみたいに実は40です、とか変なところで嘘つくのやめてよ。


「名前は?」

「鴨井 茜です…。」

「かわいー名前だね。」

「そーですか?」
 カモ、カモってからかわれることも少なくなくて、嫌だったんだけどな。

「カモちゃん。」
 って、言った傍からこの人…!
本当私の嫌なところついてくる!

「カモちゃんはやめてください。」

「かわいーのに。」

「やめてください。」

「じゃぁ……アヒルちゃんね。」
 あひる?

「アヒルって、カモ科だから。」
 くしゃっと彼は破顔する。

「……もう好きにしてください。」
 アヒルも嫌ですって言ったとしても、どうせまた違う動物の名で私のこと呼んでくるんだろうし。
半ば呆れて、私は彼から視線を外した。

しかし何だって私、知らない人と喋ってんだろう。知らない人と喋っちゃいけませんって小っちゃい頃よく言われてたけどなぁ。

「俺、柊木っていうから。」

「下の名前は?」

「鷹弥。」

「ふーん…。」
 私と違ってかっこいい名前しやがって、苗字も名前もさ。

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