センセイの好きなもの




………気持ち悪い。頭がズキズキする。

今、何時だろう。

時計を見ようと頭を動かすと、ズキンと差し込むような激しい痛みに襲われる。


「痛い…」


「目が覚めたか」


「…巧先生?」



巧先生はベッドに寄りかかって、私の内職をやってくれているようだった。
今回はまたストラップ作りだから時間がかかるんだ…。お酒飲んでる場合じゃなかった。

何とか体を起こすと、巧先生は冷蔵庫からミネラルウォーターを持ってきてくれた。
わざわざキャップを開けて渡してくれる。



「ありがとうございます…」


「お前、俺が誘っても飲みに行ったりしなかったのに、何でアイツと行ったんだよ。しかもベロベロになるまで飲んで…。相手が男だったらあのままホテルにでも連れ込まれてるぞ」


「…ごめんなさい」


確かに相手が紗絵さんだったから良かったけど、あんな飲み方したらどうなってもおかしくなったのかも…。
そういうことに疎いんだ。疎いとかの問題じゃないけど。
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