恋よりもっと。~トモダチ以上カレシ未満~
「それは!きっと、今は安田と別れたばかりで、寂しいから私を好きだと思い込んでるんです」


「伊川はそんなダサイ男じゃないでしょ。上杉はそんな男と親友だったの?」


違う。
断じて違う。

ひねくれて疑ったこともあったけれど。
本当はわかってる。
寛が私を代わりにするはずないって。


「上杉は、伊川のことは好きじゃない?僕からしたら、二人はお似合いに見えたけどな。ずっと、新人の頃から、仲良くて絆があるみたいで。いずれ、二人が付き合うことは自然なことに思えた。だから、伊川の婚約は別な意味で驚いたよ」


「私には自然なことではないんです。
私は……、本当は寛との友情を取り戻したいんです。不純物を含まない兄弟愛みたいな関係に戻りたいんです。その方が私にも寛にも居心地が良いはずだから。
でも、もうそんな関係には戻れない。寝てしまったから、私たちの関係は変わってしまったんです。
それがツライ……」

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