恋よりもっと。~トモダチ以上カレシ未満~
「それは……」


口を開きかけたけれど、言葉が見つからない。


「上杉に愛情が無いなら、友達とか同期なんて温いことは言わず、はっきり拒絶すればいい。なのに、それもしないのは、やっぱりきみも伊川に強い想いがあるんだろう?
だけど、愛情は返してやれない。適度な距離で友情だけは保とうとする。
そんなことをする理由が僕にはわからない。
上杉は、伊川の何に固執してるの?」


私は、
言葉を失った。

見事に、
返す言葉が無かった。

私は答えに窮し、自分でも驚くほど狼狽して、視線をそらした。



そして、私は自分に問いかける。


私の求めているものって何?

私の執着しているものって何?



私にとって寛の存在は何?

親友で、大事な人で、それから……
何?







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