恋よりもっと。~トモダチ以上カレシ未満~
5章
争い
仕事は日々忙しくなっていく。
異動になった営業マンから客先を完全に引き継ぎ、私は毎日仕事に追われている。
平日だけでは事務処理が間に合わず、土曜出勤が増えた。
おかげで日曜は寝て終わってしまう。
年頃の女子として、どうなんだろう?
たまに考えてみるけれど、すぐにどうでもよくなる。
思えば、10代だって20代前半だって、女子らしくしようとしていない。
着飾ることも、恋愛も、人よりは興味が薄かった。
恋人だって、自分から積極的に探しはしない。
たまたま告白されて、たまたま紹介されて、彼らさえ私を気に入ってくれれば、付き合ってきた。
そんな私が、これほどに執着する寛は何なのだろう。
いや、寛との友情に固執する、私こそ何なのだろう。