恋よりもっと。~トモダチ以上カレシ未満~
「大袈裟にもなるだろ。おまえが襲われたんだから。胆が冷えるってああいうことを言うんだな。心底ぞっとした」


「寛のおかげで、助かったよ。ありがとう」


そこで、沈黙が流れた。
気まずくはない。しかし、居心地がいいわけでもない。

二人でいることが自然だった私たちは、沈黙に困る程度に隔たっていたのだ。


「琴、俺たちはもうどうにもなれないのか?」


寛が口を開いた。


「離れたいと思ってる?」


私は頷く。
気持ちは変わっていない。
寛との本来の友情が取り戻せない以上、以前の距離ではいられない。
それだけは変わらず強く思っている。
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