恋よりもっと。～トモダチ以上カレシ未満～

幾郎とのこともあったし、正直何か仕組まれているんじゃないかとも思った。
寛に相談した方がいいだろうか。

しかし、徹底的に避けておいて、こんな時ばかり頼るなんてできない。
結局、私は土曜の午後に新宿で安田と待ち合わせた。

待ち合わせのカフェにやってきた安田は、私を見つけるとニコリともせずに寄ってきた。


「お呼びたてしまして、すみません」


飽くまで形式的に言う安田の口調は挑戦的で、相変わらず格好は甘めな女性誌から抜け出てきたかのように可愛い。


「久しぶり。今日は何の用？」


「その前に、飲み物を頼んでもいいですか？喉渇いちゃって」


安田は店員を呼び、注文すると、やってきたアイスティーをぐぐっと飲むまで口を開かなかった。
私は、そのどこかゆとりのある安田を見守っていた。