恋よりもっと。~トモダチ以上カレシ未満~
「女で売ってないですって顔が大っキライ。
サバサバしてるのにオバサンみたいにお節介で世話焼きで、仕事できるのに威張らなくて、そんな上杉先輩が大キライ。
私には絶対できないことばっか。
………羨ましくて、憧れで、ずっとずっと大キライでした」


安田は言い切ってから、顔を上げる。

ややして、ニッと笑った。
私も苦笑いにならざるを得ない。


「何それ。どんだけ私を意識してたのよ、あんた」


「思えば、寛ちゃんを好きになったのも、あなたの男だと思ったからかも。付き合い始めた時は、やっと上杉先輩にひとつ勝ったって嬉しかったな」


「根性曲がってる」


「寛ちゃんには内緒にしてくださいよ。今度こそ傷付くと思うから」


安田は色々吹っ切れたのだろう。
それで、会いたくなったのが、嫌いな私だなんて。
安田の本性を知った今となっては、なんだか妙に頷けた。

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