恋よりもっと。~トモダチ以上カレシ未満~
「寛ちゃんと付き合ってないんですか?」


不意に聞かれ、私は首を横に振った。


「言ったでしょ。私たちは付き合う関係じゃないって」


「バッカみたい。上杉先輩が寛ちゃんを好きなことくらい、知ってますけど」


「それでも、付き合わないの。友達でいたいの」


少なくとも、私はいまだそう願っている。


「そうやって、カッコつけて、男女の友情とやらを貫けば?二人ともジジィとババァになってもおんなじこと言ってさ。あー、バカらし」


安田はため息をついて、アイスティーの残りをずずーっと飲み干した。

私の知っていた安田なら、まずしない豪快な飲み方だった。


「しかし、安田さ。よくもまあ、あれほどに猫を被ってたね」


私は呆れ半分と、面白さ半分で言った。
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