恋よりもっと。~トモダチ以上カレシ未満~
5月半ば、寛が新しい仕事を取ってきた。

官公庁がメインの相手の第一営業部だけど、今回の仕事は私鉄運営会社の仕事。新しい寝台特急のリネン関係をまかせたいというものだった。
リッチな客室に本格的なコースが味わえる食堂車。
それらすべての布製品だ。
大きな仕事になる。

仕事を取ってきた寛は初のチームリーダーに抜擢された。
お目付け役に3つ上の越谷(こしがや)さん、メンバーはひとつ下の峰(みね)くん、サポート事務方に峰くんの同期の原西さん、新入社員の大川さん。


「私もですか?」


私は課長からの通達に目を見開いた。


「伊川の初仕切りだからな。ツーカーの上杉をつけた方がうまくいくってのが、俺の意見」


40代に入ったばかりのイケメン課長は、男らしくニヤリと笑う。


「伊川も結婚決まったみたいだし、ここらで一旗、上げさせてやりたいだろ」


寛の結婚。
胸が少し疼く。

でも、チームリーダーの寛を成功させてやりたい気持ちは本物。


「課長、ありがとうございます!頑張ります!」


私は勢いよく頭を下げた。
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