恋よりもっと。~トモダチ以上カレシ未満~
寛は一日中運転し疲れていた。

他の運転役の同期は地方営業所勤務で、一日中車に乗るのは慣れている。
本社勤務の営業はもっぱら電車移動か、精々カーシェアリングなので、一日運転するようなことはプライベートでしかない。

私はペーパーだし、他のメンバーが無免許なので、寛は慣れない運転をかってくれたのだけれど、
さすがに夕飯の缶ビールがまわると眠気に襲われている様子。


「寛、眠い?」


寛は答えない。

仲間たちの喧騒は遠い。
暗闇の森、私たちはまるで二人きりだ。


ぐらっと寛の身体が傾いだ。
そして、私の身体にかかる重みと温もり。
肩に乗るのは、寛の頭。

すでに寛は眠っていた。


< 55 / 170 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop