恋よりもっと。~トモダチ以上カレシ未満~
「えー、このたびはおめでとうございます。同期にして同じ営業一課の伊川寛くんの結婚を、私も心から嬉しく思います。
安田未衣奈は私の大学の後輩でもあり、社内イチの美人であることは皆さんご存知のことと思います」


私はかしこまった口調で続けながら、横の寛をちらんと見やる。


「一体、寛くんはどんなマジックを使ってこんな事態に持ち込んだのか、誠に不思議です。ともかくは、かけた魔法が解けないうちに結婚まで持ち込めることを願って止みません。頑張ってください。以上!」


同期が全員笑う。
寛は苦笑している。


「琴、おまえなぁ!」


怒った口調を作っても怒りきれていないのは、寛が今、相当ハッピーだからだろう。
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