恋よりもっと。~トモダチ以上カレシ未満~
拍手で席につく私に、寛が耳打ちした。


「な、帰り道、いつもの店でメシ食ってこうぜ」


「おう、いいよ」


私はニッと笑い、頷いた。


*****


同期会が終わり、駅で解散になると、私と寛は歩いて隣の駅近くまで向かう。
この駅のガード下に、私と寛の行きつけの赤提灯がある。


「おじちゃん、いつものー!」


入るなり、カウンターで寛が怒鳴った。
無愛想な店主のおじちゃんは、無言で頷き、私と寛の前に生ビールともつの味噌煮込みを出してくれる。
おじちゃんの料理が美味しいので、このお店はボロいなりに繁盛している。


「あらためまして、おめでとう、寛」


私は持ち上げたジョッキを寛のジョッキにぶつけた。
寛が照れくさそうに笑う。

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