ただ、君の隣にいたいだけ
もう、聞きたいことを聞いたらお腹すいたねなんてはぐらかされた。明日まで本当に何も言わないつもりだな。こっちはいいところでお預けを食らってモヤモヤした夜を過ごさなくちゃいけないのに振り回すんだから。



「うまーい!!」



「今日は二人が頑張ったから。特に花菜のあんな姿を見られてホッとしたわ。改めて亮輔くんに感謝ね」



「いやいや俺は何もしてないですよ。ここまで頑張ってくれたのは花菜ちゃんです」



家に帰るとすき焼きのいい匂いが家中に漂っていた。お腹が空いて夜ご飯まで待ちきれなかった私たち。


二人で勢いよくキッチンに向かうとおかえりなさいと笑顔で迎えてくれたお母さん。明海はあの後すぐにおじいちゃんの家に行ったらしい。明海からまた話を聞くのが楽しみ。


白い炊きたてご飯にすき焼きが円卓に並ぶと待ってましたと手を伸ばす私たち。お茶を持ってきてくれたお母さんが驚くほどの食べっぷり。お母さんの問いかけに食べながら答える亮輔さん。


私はピタッと箸を置いた。
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