あなたを愛する者
「前にさ、ミカちゃんと一緒にリクの教室来たことあったでしょ?」
ミカたちが居なくなると、入江先輩が話し出した。
「えっ、あぁ、はい……」
私は驚いて、顔を上げる。
「あの時、杏ちゃん見て可愛い子だなって思ってさ」
「はぁ……、ありがとうございます」
一気に体温が上がった気がした。
「そんなに硬くならないでよ」
入江先輩が、やわらかく笑う。
「はい……」
だって、そんなこと言われ慣れてないんだもん……。