あなたを愛する者
フロアを何度も行き来する人や、大声で話す人。
騒がしい店内。
やっぱり私は好きになれない……。
なんだか落ち着かず、私はうつむいた。
同じクラスの知り合いも居そうで、余計に気が散る。
でも周りの人はお構いなしで、他人のことなど気にしない、この騒がしい店の雰囲気が、なんとなく今の私にはありがたかった。
「杏、何飲む?
なんか買ってくるよ」
「ありがと、じゃあアイスティーがいいな」
「オッケー、じゃあリク行こう」
えっ
えっ?
ミカはそう言うと、リク先輩の手を引き、席を立った。
ちょっとー!
いきなり二人にしないでよー!
階段を降りかけた所でミカは振り向くと、私に笑顔で手を振った。
もう、ミカめ~!
急に二人きりにされ、店内の騒がしさが私を余計に緊張させた。
私は下を向いたまま……。